小唄「猫じゃ猫じゃ」のご紹介。
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小唄「猫じゃ猫じゃ」のご紹介。

2020年03月06日(金)5:42 PM

  「猫じゃ猫じゃ」

 

 猫じゃ猫じゃと おしゃますが

  猫が 猫が下駄はいて 杖ついて

   絞り浴衣で来るものか。

 

 寛政元年(1789)発行の「三国一流落志噺止・醴上戸」(中注軒作)の中に

猫だ猫だとおっしゃいますが 猫が手拭かぶってくるものか。】という小唄

が大いに流行したとある。

 文政年間『猫じゃ猫じゃ』が上方小唄として上方に行われたことがわかる。

これが幕末江戸で歌詞を変えて端唄・歌沢となり、これが江戸小唄に採り入れ

られたものである。

 始めの『猫じゃ猫じゃ』の「おっしゃます」はおっしゃいますの約言で、こ

の猫は間夫という猫である。

 旦那の留守に逢引きしていたお妾さんの所へ旦那が不意に訪ねて来るので、

慌てて男を押入れへ隠すが、男下駄を隠すのを忘れて、旦那にとがめられ、「

まァ猫がこんな下駄をどこからくわえて来たんでしょう」というのを旦那が、

「猫じゃ猫じゃと言うが、此の頃の猫は下駄をはいて杖ついて、絞りの浴衣(当

時流行のもの)を着るようになったのかね。」という落とし話しである。

 替え唄に

 猫じゃ猫じゃと おっしゃますが

  猫が十二単衣を着るといな

   ごろにゃごろにゃ ごろにゃごろにゃ

    ごろんにゃご。

があるが、この歌詞は江戸時代の唄本にはないので、おそらく明治二十年、五

代目菊五郎が「岡崎の猫」を初演した時に作られたものであろう。

 「岡崎の猫」の初演は文政十一年江戸河原崎座。「独道中五十三駅」。

鶴屋南北が三代目尾上菊五郎(梅寿)の為に書いた怪談で、怪猫が十二単衣を着た

老女に化け、鏡台に向かって鉄ね(かね)をつけ、行灯を引き寄せその中に顔を入

れて、長い舌を出してピチャピチャと油を舐める趣向が大当たりであった。

 明治二十年新暦七月東京中村座「五十三次扇宿附」は、作者河竹黙阿弥が南北

の趣向を伝え、五代目菊五郎が親譲りで猫の精を勤め、京の織屋西川宗三郎と祇

園の芸子お袖とが手に手をとって江戸へ道行の途中、岡崎の宿に行き暮れて古寺

に一夜の宿を乞うたその夜、十二単衣を着た老女となってこれを悩ますという芝

居であった。

 十二単衣を着た怪猫は、「岡崎の猫」を始めとして、その後「有馬の猫」「鍋

島の猫」等に採り入れられている。  木村菊太郎著「江戸小唄」より引用

 面白い小唄ですね。最初の「猫じゃ猫じゃ」は落ちがあって大変愉快な小唄だ

と思います。

「十二単~」の唄は「怪猫」を唄っていたとは?この説明文を読んだら是非歌舞

伎も観てみたくなりました。

 実は私も「猫」をテーマ?にして小唄の作詞を数年前に書いています!

かなりぶっ飛んだ歌詞ですが、この「猫じゃ猫じゃ」の歌詞を思えば、良いのか

な?と思います。

 では次回ブログにて発表させて頂きます。 乞うご期待!!

 



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