小唄「朝顔の」のご紹介。
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小唄「朝顔の」のご紹介。

2022年08月03日(水)1:05 PM

    「朝顔の」 木村富子詞・十二世片岡仁左衛門曲

 

 朝顔の 明日待つ間や垣根越し

  闇を流るる蛍火に 初の御見をしみじみと

   胸に焼きつく面影も あわれこの夜を宇治川の

    霧が濡らした瑠璃の色。

 

 「生寫朝顔話」別名「生寫朝顔日記」時代物。天保三年正月

大坂竹本木々太夫座初演。これを改訂したものが今日の芝居・

浄瑠璃の定本となっている。

 京都岡崎聖護院の町外れに閑居するもと芸州(広島県)岩戸の

家老秋月弓之助の一人娘深雪は、宇治の蛍狩りにゆき、九州大

内家の家臣で儒学修業のため京に上った宮城野阿曾次郎という

美しい侍と互いに見染合う。別れにあたって阿曾次郎は金地に

朝顔を描いた扇に

 露の干ぬ間の朝顔を 照らす日影のつれなさに

  あわれ一村雨の はらはらと降れよかし。

という歌を書いて与える。

 それから三ヶ月、朝顔の咲く頃、深雪の父は国許に一揆が起

きて急いで帰国することになり、深雪は阿曾次郎と果敢ない別

れをする。

深雪はそれ以来阿曾次郎を慕い、大内の臣駒沢次郎左衛門との

縁談があったのを、駒沢こそ叔父の家督を継いで改名した阿曾

次郎とは知らず、阿曾次郎に操を立てて家出し、流浪する間に

盲目となり、「朝顔」とよばれる角付となって阿曾次郎をたづ

ねて各地をさまよう。

 一年後の夜、東海道島田の宿の戎屋で、客の所望によって「

露の干ぬ間・・・の唱歌を琴に合わせて唄うが、この客こそが

駒沢(阿曾次郎)でした。

しかし国許へ帰る途中のため、駒沢はわざと名乗らず朝顔の歌

と本名を書いた扇に霊薬を添えて、亭主に渡して出立する。

それと知った深雪は駒沢の後を追うが、大井川は雨で増水のた

め川止めとなる。悲嘆のあまり川へ身投げしようとするが、忠

僕関助に止められ、宿屋の主人徳左衛門(旧臣)の身を殺しての

情でたちまち眼病が平癒し、関助のお供で駒沢の家をたづねて

婚儀を取り結びました。

 この小唄は阿曾次郎を慕って東海道をさまよう盲目の門付朝

顔が、四ツ目垣にからまる朝顔の花を手でさわりながら、昨年

の「宇治の蛍狩」で阿曾次郎と初の御見の夜の、露が濡らした

瑠璃色の空を想い浮かべている所を唄ったもの。

富子の作詞は女性の作になるだけに

 、女心の切なさを繊細に描いて、近代的感覚に溢れる秀歌詞

となっている。 木村菊太郎著より引用

 この短い小唄にはこんな物語があるんですね。この物語を知

らずに唄ってもしょうがないですね。

この小唄ように、小唄は歌舞伎や浄瑠璃の物語を唄ったものが

本当に多いんで、出来れば舞台も鑑賞していきたいと思います。

 

 

 



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