「邯鄲」の鳴く音に・・・秋。
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「邯鄲」の鳴く音に・・・秋。
2017年09月03日(日)10:06 AM
邯鄲の 鳴きいる雨の 寝覚かな
藤田耕雪
邯鄲・・・細身の体長1.5㎝ほどの虫。ながい触角を持ち、全身は淡黄緑色
の薄絹を纏ったよう。
その姿や、美しい鳴き声が儚く感じられ「邯鄲」の名が付いたという。
人の栄枯盛衰は所詮儚い夢に過ぎないという故事『邯鄲の夢』『邯鄲
の枕』がその由来。
この「邯鄲」が詞に唄われてる小唄、『待宵月』をご紹介させて頂きます。
『待宵月』
待つ宵を月まち日まち角に出て
細る思いをきりぎりす 遅い来ようと
松虫の早や早や五つの鐘叩き
残る暑さも鈴虫や 夜長を集く邯鄲の
夢の枕が縁の端
それそれあの角 曲がり角。
作詞 田中宏明、作曲 中山小十郎。
今年の栄芝会で演奏した小唄ですが、詞も掛詞が使われて意味深で、糸の音
も繊細で美しくとても素敵な小唄です。
この小唄を聞きますとまた向島百花園に行って、虫の音に耳を傾けながら
満月を眺めてみたい気分になります。
そして小唄をお稽古する事で移り行く季節をより深く味わうことが出来るこ
とを、芝恋は大変幸せに思います。