「ピサロ」を観にパルコ劇場へ。
先日、渋谷のパルコ劇場で「ピサロ」を観て参りました。
昨年新生されたパルコ劇場のこけら落とし公演としての「ピサロ」が、
コロナ感染拡大のためにたった10回の公演で打ち切りとなり、そして
一年余再びの公演となりました。
昨年の公演ではチケットが手に入らず諦めていたのですが、今回は運
良く本当に運良くチケットを取ることが出来て、「なんてラッキーなん
だろう!」と見終えた後に痛感しました。
役者さん達も大変だったでしょうが、一年余寝かせたことで芝居はそ
れぞれの役者さんの中で熟成され、より深みを増したようです。
幕開けのインカ帝国の若き王アタウアルパの立姿のなんと神々しいこ
と!自称「太陽の子」、神秘と無垢を体現した宮沢氷魚の佇まいに一瞬
で心を奪われました。
対する渡辺謙は、重厚感たっぷりに自身の出自にコンプレックスを抱え
ながら老いと孤独に苦悩するピサロ将軍を演じ、さすが!
対照的な二人が物語中盤では敵味方を超えて父と子の様な絆を築いて
いくことで最後はより一層の深い哀しみの別れとなっていく・・・。
階段状のセットに腰掛けてピサロ将軍が殺されたアタウアルパを抱き
抱えて悲嘆にくれる姿は、「おや、何処かで観たような・・・」
18年位前にイタリアのバチカンを訪れた時に観た「ピエタ」像・・
・、聖母マリアが磔で亡くなったキリストを抱き抱えてる像が脳裏に甦っ
たのです!
果たしてそんなことを感じたのは私だけでしょうか?
この「ピサロ」を書いたピーター・シェファーの芝居を観るのは遥か
昔学生時代に劇団四季が公演した「エクウス」以来でした。
「エクウス」では少年対精神科医、「ピサロ」ではインカの王アタウア
ルパ対ピサロ将軍と、人間同士の対立を描きながら、人間の不可解さを炙
り出していくいずれも見応えのあるお芝居でした。
(「ピサロ」は邦題で、「THE ROYAL HUNT OF THE SUN」が原題です。)