小唄「止めては見たが」のご紹介。
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小唄「止めては見たが」のご紹介。
2019年03月30日(土)11:20 AM
「止めては見たが」 笹川臨風作詞・五世清元延寿太夫作曲
止めては見たが 利かぬ気の
帰りたいなら帰りゃんせ 空も朧に薄曇り
春や昔の春ならぬ 月もないのに花の影
移るその香にうっとりと
「まあ静かな晩だこと」
この小唄の主人公は若い芸者で、歌詞は見た通りの甘い物語である。
小唄は清元栄次郎の薫陶をうけた新橋芸者の新橋つる子(清元延はる寿)
によって開曲された。
この時作詞の笹川臨風は66歳、延寿太夫は73歳、「春は昔の春な
らぬ・・・を中心にして「まあ静かな晩だこと」はこの頃の小唄界、花
柳界の流行語となるほど流行した。 昭和小唄 Ⅰ 木村菊太郎著より引用
如何でしょうか?
「まあ静かな晩だこと」・・・引き留めたのに帰るといって利かない人
を見送って曇る気持ちに、ひっそりと咲く花の香りについうっとりとし
て独り言・・・佇む女性の姿が彷彿とさせられます。
この最後の独り言でとても魅力的な小唄になっておりますね。