小唄「年の瀬や」のご紹介。
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小唄「年の瀬や」のご紹介。

2025年12月13日(土)8:23 AM

 「年の瀬や」

年の瀬や 年の瀬や
水の流れと人の身は
とめて止まらぬ色の道
浮世の義理も捨てどころ
頭巾羽織を脱ぎ捨て
肌さえ寒き 竹売りの
明日待たるる 宝船。

明治後期に作られた歌沢系の芝居小唄で、
明治三十三年の「高名忠臣蔵」上演の時
に寅右衛門によって作曲されたものであ
ろう。
赤穂浪士討ち入りの当日、両国橋で宝井
其角が、同じ俳諧の道で知り合った大高
源吾の零落した笹売り姿を見かけ、「年
の瀬や水の流れと人の身は」と発句で問
いかけると源吾はすかさず「明日待たる
るその宝船」と付けて別れる。
その夜、松浦鎮信邸の俳席で其角からそ
の話を聞いた松浦候は、その句から源吾
の真意を悟って、丁と膝を打つ。
折柄隣家の吉良邸より聞こえる陣太鼓の
音は、これぞ赤穂浪士討ち入りであった
というのがこの芝居筋である。
歌沢の「留めて止まらぬ~捨てどころ」
までは、源吾が故郷の母に遺言の手紙を
書き送り、この世のすべての義理を捨て
て主君のために殉ぜんとする武士の意地
を唄ったもの。
「頭巾羽織を脱ぎ捨てて」は、源吾が日
頃句会で其角に会う時の、羽織、投げ頭
巾姿の礼儀正しさに引き換え、今宵は一
重布子に股引草鞋という身すぼらしい竹
売り姿で、寒風のすさむ両国橋を渡る姿
を唄ったものである。
江戸小唄は、歌沢節から採ったもので、
色々な唄い方があるので、代表的なもの
を掲げた。
歌詞も作曲もよく出来ており、「肌さえ
寒き」に一中節を採り入れ、年の暮れの
わびしさ、慌ただしさと、来るべき年へ
の望みなどをよく表現し、年の暮れに聞
くこの小唄の味は、正に年の瀬の感を深
くする。「小唄鑑賞」 木村菊太郎著より引用

丁度明日が赤穂浪士討ち入りの日ですね。
年の暮れには父がテレビドラマの「忠臣
蔵」を熱心に観ていた姿を思い出します。
泉岳寺では毎年義士祭が行われ、明日は
義士行列があるそうです。
一度は観に行きたいですね。

 



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