シアターコクーン

　昨日は冷たい雨の中渋谷シアターコクーンへ「広島ジャンゴ　

２０２２」を観に行って来ました。

　キャストが最高！　大好きな天海祐希と鈴木亮平のW主演、

更に敵役には仲村トオル、とくればコロナ禍もなんのそので

すね。

　この三人の演技達者で展開される広島で西部劇？　えー？？

超斬新でしかも物語のテーマをしっかりと伝えていることに驚

きました。

　現実では広島の牡蠣工場で働く地味で無口なシングルマザー

山本が夢の中では夫殺しで指名手配中の早撃ち女ガンマンジャ

ンゴであり、牡蠣工場でシフト担当者の木村は夢の中ではなん

と！ジャンゴが連れている馬のディカプリオであったり、支配

欲が強くて横暴な工場長は町の悪徳町長と、上手く役を置き換

えていて分かり易い。加えてブラック企業で働いていて自殺し

た木村の姉が物語の水先案内人として要所々で登場。

　暗くなりがちな物語を夢の中で西部劇に仕立て描くことで、

しんどい話がそれ一辺倒にならずに済んでると思いました。

　現代日本の社会の雇用のあり方、弱い立場に甘んじて異を唱

えることもできずにいる労働者、右へならえが身に染みてしま

って互いを理解し支え合うことも出来なくなっている人々・・

・。

コロナ禍で雇い止めや不当な賃下げにあっている人々がいる現

実を考えると、実にタイムリーなテーマの芝居だと思います。

　ラストシーンではこれまでお互いのプライベートな話などし

てはこなかった山本と木村が初めて個人として向き合って語り

合う・・・、そこに作者の僅かな希望とエールを感じさせられ

ました。