小唄「濡れて見たさに」のご紹介。
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小唄「濡れて見たさに」のご紹介。

2019年05月08日(水)10:28 AM

 五月六日は「立夏」、暦の上ではこの日から夏です。

立夏とは春の気が終わって清々しい夏の気が立ち始めることですね。

 初夏の爽快な気分で小唄「濡れて見たさ」を口ずさんでは如何でし

ょうか?

 

   「濡れて見たさに」 作詞 平山蘆江・作曲 春日とよ

 

 濡れて見たさに燕(つばくろは)

  柳の葉陰をくぐるではない

   あれあの羽交(はがい)で すういすいと

    夏の気色を運ぶとさ。

 

 この小唄の燕を、雨上がりの晩春の銀座の柳を嬉々として

飛び交う燕と見て、春日とよのモダニズム小唄としてとりあ

げることとした。

「羽交」は羽、翼のこと、「気色」とは夏の気配、きざしを

運ぶという意味である。

 とよの作曲は珍しい三下りで、チャチャンチャンチャン、

チャチャンチャンチャンという軽快な前弾きをきいて「濡れ

ーて・・・と出て、チャチャンチャンチャン、チャチャンチ

ャンチャンと四つに収まる。

「くぐるウではない・・・を軽快に、「すういすい・・・燕

の風を切って飛ぶさまをすーいーィィーィーっと返し、眼目

の「夏の気色・・・は、ツンを聞いてイヤーッ「なつのーォ

けしーき・・・とぶつかると、糸は再びチャチャンチャンチ

ャンを四つ繰り返し、それいっぱいに「を運ぶとさー・・・

と収め、送りはない・・・という、正に胸のすくような作曲

であった(「小唄芸談」春日とよ福美)

 この小唄は昭和初年における蘆江ととよの「春日小唄」の

一つの頂点を示す名曲である、と筆者は考えている。

(「昭和小唄 その一」木村菊太郎著より引用)

 この小唄は春日流流祖春日とよの作曲なんですね。

ところで「モダニズム小唄」とは? 次回ブログでご紹介さ

せていただきます。

 

 



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