秋・・・・「木賊」を見て思うこと。
『 蓼科は 秋の山なり 木賊かる 』 正木不如丘
「木賊」 とはあまりピンと来ない方もいらっしゃるかと思いますので、ちょっ
とご紹介。
青々と小さな竹のように直立する木賊。庭に彩りを添える観賞用によく見られる。
かつては茎が充実する秋に刈り取って乾燥させ、木や角などの細工物の研磨に用
いたことから、研ぐ草が転じて「木賊」となったという。
先日ウォーキングしていると一軒の家の庭がとても素敵なのでつい足を留めて眺
めておりますと、「木賊」が植えられてるのに気づきました。そして思い出したの
が長唄のお師匠さん、杵屋六勢娥先生のこと。
六勢娥先生は三味線のお稽古を最初につけて下さったお師匠さんです。
大変な勉強家で、単に三味線の弾き方、唄い方を教えるだけではなく、曲に関する
こと、言葉の意味や昔の風俗、建築等をきめ細かに教えて下さいました。
長唄と言えば歌舞伎、ということで歌舞伎鑑賞に皆を連れて行き、事前にお芝居
を説明したプリントを配るなど、非常に学研的なお師匠さんでした。
当時お師匠さんの家の庭には「木賊」が植えられていました。「木賊」の利用法
や、名前の由来なども私にお話しして下さったことが、ウォーキングの際にふと目
にとまった「木賊」を見てとても懐かしく思い出されたのです。
「木賊」を庭に植えたのは三味線に関わりの深い植物だからと言ってらっしゃい
ました。
撥にする象牙を磨いたり、紅木の棹を仕上げしたりする時に昔は木賊を使ってい
たというお話しだった気が致します。
まだ若かった自分はそういうお話しを何となく聞いていて、「早く三味線を弾く
お稽古を始めてくれないかな」などという気分でいたのですが、今思えば本当に
幅広く為になるお話しをして下さっていたのだと遅まきながら気付いてるわけです
。
芝恋も、もっと幅広く勉強してお弟子さん方に有意義なお話が出来る様にならな
くてはいけないな!と真っ直ぐに立ち並ぶ「木賊」を見て思いました・・・・。
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