小唄「笠森おせん」から永井荷風作「恋衣花笠森」へ
以前のブログで小唄「笠森おせん」についていろいろご紹介しましたが、その際
おせんを題材にした小説を、永井荷風が「恋衣花笠森」というタイトルで書いてる
そうですと紹介いたしました。芝恋も早速読んでみようと探したのですが岩波新書
では絶版になっており、友人の協力を得て絶版の本もある図書館よりコピーを取っ
て送って頂き読むことが出来ました。芝恋のブログをいつも読んで頂き、すぐに対
応してくれる友人に深く感謝しております。有り難うございました。
永井荷風の「恋衣花笠森」ですが、歌舞伎の「怪談月笠森」とはまったく違うお話
です。純粋で素朴な町娘「おせん」が器量が良いと評判になったためにその美しさ
を笠森神社参拝にかこつけ観ようと、大勢の人が参拝の折おせんの働く茶屋に来
て商売繁盛するのですが・・・・・。実はおせんには幼馴染の下級武士の源之進とい
う恋人がいて、という思うに任せぬ恋物語です。
急にその美しさで有名になってしまい、鈴木晴信の錦絵にまで描かれ、おせん本
人は戸惑うばかり、むしろ恋しい源之進とは以前の様に逢って話もできず・・・・。
一方源之進は貧しい下級武士の、しかも部屋住みの身、おせんと結婚したくても
・・・・・。という話の展開ですが、当時の江戸の人々の暮らしや風俗が描かれ、江戸
小唄をやってる芝恋にとっては大変興味深い小説でした。
物語の冒頭、源之進がおせんの描かれた錦絵を購入する際に、店の手代が「これ
が柳屋のお藤、これが只今刷り上って参りました鍵屋のお仙でござります。」と言う場
があります。「柳屋お藤」この江戸美人として名高い町娘もなんと!!小唄に唄われ
ていて、しかも「柳屋お藤」を作曲したのは春日流流祖「春日とよ」であります。
次回ブログにて小唄「柳屋お藤」をご紹介させて頂きます。
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