小唄「笠森おせん」のご紹介。
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小唄「笠森おせん」のご紹介。

2015年07月25日(土)1:20 PM

 先日の「小唄と浮世絵」のブログの中に出てきた「笠森おせん」をご紹介します。

 

         「笠森おせん」     作詞 小林栄作 作曲 春日とよ

 

 鐘一つ 売れぬ日も無し江戸の春

  花の噂の高さより

   土の団子の願事(ねぎごと)を

    かけた渋茶のおせん茶屋

 

 あたしゃ見られてはずかしい

  掛行燈(あんどう)に燈を入れる

   入相桜ほんのりと 白きうなじの立ち姿

    晴信えがく一枚絵

 瀧夜や 木の間にゆらぐぼんぼりの

  灯影(ほかげ)まばゆき桜花

   手拍子打てば ちらちらと

    散るを惜しまん 春の宵。

 

 

 

 実録によると、明和のころ、江戸谷中(台東区)の笠森稲荷地内の水茶屋の

娘おせんは、世にもまれな器量よしで、わざわざおせんの茶屋へ人が見にゆ

くほど評判となり、遂には鈴木晴信のえがく錦絵の一枚絵となり、絵双紙、双

六、から手拭にまで染められるようになり、飯田町の世継稲荷の開帳には、

おせんの姿を人形に作って奉納された。

 小唄は、「怪談月笠森」の序幕、舞台一面桜の《おせん茶屋》の場で、掛行燈

に灯をいれる白きうなじの、哀艶極まる下町娘の立ち姿を唄ったものである。

 土の団子の願事・・・・笠森稲荷にまず土の団子を供えて願をかけ、願事が叶

              えば米の団子を供えるというわけで、参詣の人が全部思

              いをおせんにかけている、ことにかけている。

 うなじ・・・・・・・・・・・・・襟首

 鈴木晴信・・・・・・・・・・江戸時代中期の浮世絵画家。明和二年に始めた錦絵

              の版画は、茶屋娘、町娘、侍女、姫君など多方面にわた

              り、夢見る様な美しい雰囲気を出した。

 「怪談月笠森」・・・・・世話物。河竹黙阿弥作。

             黙阿弥が十六歳で立女形となった三世沢村田之助のため

             に、おせんとその姉娘おきつの二役を書き、怪談劇にまと

             めたもの。

                        (芝居小唄鑑賞 木村菊太郎著より引用)

 如何でしょうか? 歌舞伎、浮世絵、小唄と日本の伝統古典芸能が見事にリンク

してますね。歌舞伎の物語にも俄然興味が惹かれますね!長くなりましたので、次

回ブログにて書かせて頂きます。

 

 

 

 

 

 

 




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