小唄「笠森おせん」から歌舞伎「怪談月笠森」へ
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小唄「笠森おせん」から歌舞伎「怪談月笠森」へ
2015年07月27日(月)10:51 PM
今回は歌舞伎のお話と「おせん」について書かせていただきます。
「怪談月笠森」は河竹黙阿弥の作で、慶応元年に初演。
武州草加在の名主・忠右衛門の二人娘、姉が「おきつ」で妹が「おせん」。
姉のおきつが恋のもつれから市助という男に殺され、おきつは幽霊となって
化けて出る。気丈なおせんが市助を殺し、姉の恨みを晴らすというストーリー
です。観てみたいですねこの歌舞伎!芝恋の好きな中村七之助に姉の「おつき
」と妹「おせん」二役をやっていただきたいな?と願います。
笠森おせんについてですが、江戸谷中の笠森稲荷門前の水茶屋「鍵屋」で働
いていた看板娘でした。明和5年頃、市井の美人を題材に錦絵を手がけていた
鈴木晴信の美人画のモデルとなり、その美しさから江戸中の評判となり一世を
風靡しました。
鈴木晴信は、江戸中期の浮世絵師で、「錦絵」の創始者として有名です。浮世
絵は、それまで色数が限られていましたが、鈴木晴信らによって、版木を摺り重
ねる技術が考案され、多色摺りの「錦絵」と呼ばれる絵が創り出されました。
現在、通称谷根千といわれてる地域にある「大円寺」に「笠森おせんの碑」があ
り、永井荷風が碑文を書いています。
《女ならでは夜の明けぬ、日の本の名物、五大州に知れ渡るもの、錦絵と吉原
なり、笠森の茶屋かぎや阿仙、晴信が錦絵に面影をとどめて、百五十有余年、嬌
名今に高し。今年都門の粋人、晴信」が忌日を選びて、ここに阿仙の碑を建つ。
時恰大正末夏 六月鰹のうまい頃》
永井荷風は、お仙を主人公とした「恋衣花笠森」という小説を書いています。どん
な小説なのか?今夏、読んでみようと思います。