小唄「晩に忍ばば」のご紹介。
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小唄「晩に忍ばば」のご紹介。
2022年01月11日(火)12:34 PM
「晩に忍ばば」 初代平岡吟舟詞・曲
晩に忍ばば 背戸屋の小窓 打つや砧の浮拍子
様は来たかと窓から見れば
様は様じゃが お月様しょんがえ。
明治期中期に作られた吟舟の小唄の佳作の一つである。
『晩に忍ばば~打つや砧の浮拍子』までは、母親の目を盗んで、
男と逢いたい一心の田舎の若い娘が、晩に忍んでくるときの合図
に、背戸屋(裏口)の小窓を、トーン、トーンと、砧を打つ様な調子
で叩いて欲しいと約束したので、もうそろそろ訪ねて来る時刻と、
どこからかトーン、トーンという砧を打つ音が聞こえてくる。
それも、何か浮き浮きした調子で打っているのは、丁度今の自分の
気持ちを現しているかの様である。
今度はその、トーン、トーンが強くなって来たので、男が来たので
は・・・と思って、裏口の小窓をそっと開いて見るが、男の姿はな
く、仲秋の月が煌々と照っている。
『様は様じゃがお月様、しょんがえ』という所である。
歌詞は、田園風景にふさわしい美しさと稚ない色気とを持ったも
ので、作曲もまたこれに相応しい気の利いた二上りものである。
(小唄鑑賞 木村菊太郎著より引用)
この小唄を春日流流祖の春日とよが唄い、三味線を春日とよ晴が
弾いてるのが戦前のコロンビアで録音され保存されております。
のどかな雰囲気の中に恋しい人が来るのを待ちわびる娘心がいじ
らし小唄ですね。