小唄「むらがらす」のご紹介。
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小唄「むらがらす」のご紹介。
2021年02月19日(金)9:37 AM
「むらがらす」 初代永井ひろ詞・作曲
むらがらす濡れて出にけり朝桜
酒の機嫌でついうかうかと
口舌の床の爪弾きは
エーェェも辛気な 明の鐘。
この小唄は冒頭に群烏濡れて出にけり朝桜(作者不詳)の俳句を据えて、ひろが若い
頃勤めていた明治二十年頃の?原の遊女と情夫の出逢いの情緒を唄ったもので、全くの古典小唄調である。
群烏は群れをなして飛ぶ鳥をさす。
この小唄を佐々舟貞の唄、佐々舟汀の糸で聞いたが、「酒の機嫌でついうかうかと・・・から「口舌の床の爪弾きは・・・と新内調になる所を聞かせ所とし、糸を離れて「エーェェも辛気な・・・とじれったい気持ちを込めて唄い上げたのは見事であった。
なお二世ひろの書簡に、近年「エー・・・の次にチンと糸をいれて「エーも辛気・・・と唄う人があるが、母はここは続けて唄って欲しい、とあったので、参考に記しておく。 木村菊太郎著「昭和小唄 一」より引用
如何でしょうか。私もお浚い会で唄ったことがありますが、しっとり感に満ちた、正しく新内調の曲で、とても素敵な雰囲気の小唄です。
小唄の三味線は爪ではなく、人差し指の先の肉の部分で弾きます。
詞の中では爪弾きと書かれることが多いので勘違いされてる方も多いと思います。
ですから、小唄を弾く方は爪が糸に当たらない様に常に右手の人差し指は爪を短く切っておきます。
この「むらがらす」を爪を当てて弾いたら台無しですね。