小唄も都々逸も俗曲も!
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小唄も都々逸も俗曲も!
2019年03月25日(月)8:41 AM
小唄は楽しくて味わい深いものですが、俗曲や都々逸もまた日本人の
感性や人生観などの機微に触れた素敵な唄が沢山ありますね。
小唄以外のものも聞いたり唄ったりすることも勉強になりますので、
今回は都々逸をご紹介させていただきます。
「三千世界の烏を殺し 主と朝寝がしてみたい」
この都々逸は幕末の志士高杉晋作が愛妾「うの」に遊郭で、三味線を弾い
て即興で唄ったものと言われております。
三千世界とは、簡単に言えばありとあらゆる世界ということです。
烏を(からす)を殺しとは、遊女はお客を繋ぎとめるために「貴方だけが本命
だから、他の客には体を許しても心は許さないことを誓う」という起請文、
誓約書を客に渡します。遊女にしてみれば仕事ですから、上客には次々起請
文を書いて渡します。
この起請文は熊野神社の護符の裏に書く決まりで、書かれた誓いを破れば
熊野神社の使いの烏が三羽死ぬということになっております。
即ち唄の意味は「今まで大勢の男に起請文を渡してきた私が貴方と寝ること
で、この世の烏をみんな殺してしまっても今だけは本当に愛している貴方と
朝まで一緒に寝ていたい。」となります。
単純に訳すとそうなのですが、この都々逸は高杉晋作が書いたもので遊女で
はありません。そう考えますと・・・、
「この広い世界の烏(口うるさい連中)を殺して(黙らせて)お前とゆっくり朝
寝がしたいものだ」
こう解釈した方が幕末の動乱の中にいた高杉晋作の気持ちが伝わってくる
気がしますね。
如何でしょうか? いずれにしても「主と朝寝がしてみたい」は艶っぽい
情景ですね!