小唄「紺の前垂れ」のご紹介。
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小唄「紺の前垂れ」のご紹介。
2018年12月26日(水)7:00 AM
「紺の前垂れ」
紺の前垂れ 松葉を染めて
松に紺とは気にかかる。
安永年間に流行した上方小唄で、原唄は、
紺の前垂れ 松葉をちらし
ささのさ 松に紺とは さいな 妾ゃ気にかかる
のほほんでござんす よい茶が沸いたら上がらんか。
である。これが幕末江戸に入って、端唄・歌沢として唄われるときに、
現在のような短章のものにかえられたもので、江戸小唄は端唄から採ったも
のである。所から現在唄われている江戸小唄は、明治中期初代平岡吟舟の作
曲したものといわれているが、歌詞が短いため、三味線の手を細かくし、唄
は三弦と離れて、文句のウミ字を細かく切って唄いこんでゆくという、非常
に皮肉な、複雑な唄い方にしたもので、余程考巧な人でないと唄いこなすこ
との難しい小唄となっている。
「松に紺」とは「待つに来ぬ」とをかけたもので、紺の前垂れをかけた上
方の茶屋女の姿が、この小唄から見える様である。
「江戸小唄」木村菊太郎著より引用
軽快な三味線にのってあっという間に唄い終えてしまう小唄ですが、解説
文にあるように気を付けて唄わないと間がおかしくなってしまいます。
付け唄として唄うのには丁度良い小唄ですね。
この小唄も春日流会長春日とよ栄芝師匠の出しているCD「通り雨」に収録
されております。是非、聞いてみてくださいませ。