小唄 『仇な世界』 のご紹介。
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小唄 『仇な世界』 のご紹介。

2017年04月16日(日)9:17 AM

       『仇な世界』

 

 仇な世界に仇くらべ  浮かれて遊ぶ飛鳥山

  鐘は上野か浅草か  霞と雲に包まれて

    笠へ散らすな  花の真盛り。

 

 本調子で替手は三下がり。

明治中期に作られた江戸小唄である。

 春四月、人々が競って花見に出かけたことは、江戸も明治も同じこと

であった。

 宮中では古くから「花の宴」といって、桜を賞し乍らの酒宴が行われ、

民間では上野、飛鳥山、向島、小金井などが花の名所であった。

   花の雲鐘は上野か浅草か。  芭蕉(続虚栗)

 

 女子は「花衣」と言って、その日のために早くから花見衣装を用意して

華美を競い、花の下に「花筵」といって、宴席に筵を敷いて、前日から作

ったお煮〆をひろげる。

花より団子の酔客、おどけた仮装の人など、「花見」は東京の人々にとっ

て、楽しい年中行事の一つであった。

 小唄は『仇な世界に仇くらべ』などと気取った表現を使っているが、「

仇な世界」とは、粋と遊びの世の中を言ったもので、「徒な世界」と言っ

ても良いであろう。

 芸妓、幇間を引き連れて、飛鳥山の花見と洒落た一団を唄ったものである。

 「笠へ散らすな」は、祝や祭礼の時に用いる「笠鉾」といって、大きな傘の

上に鉾や薙刀、作り花などを付けて持ち歩く飾り物を、仮装行列の連中が持ち

歩いたりするので、之が桜の枝に触れて花を散らさないでほしい、というほど

の意味であろう。  木村菊太郎著「小唄鑑賞」より引用。

 今年の桜は寒い日が続いて長く愛でることが出来ましたね。

お花見の楽しさ、浮かれた気分は昔も今も変わらないんですね~!

 「仇な世界」という言葉には心惹かれるものがあります。「粋」という言葉

も同じで、日本人としてのアイデンティティを強く感じさせますね。

 

 



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