小唄「満月や」のご紹介。
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小唄「満月や」のご紹介。
2020年08月30日(日)11:14 AM
『満月や』 初代平岡吟舟詞・曲
満月や 葉越し柳の涼風に
吹かれて歩む二人連れ
磯浜近く打ち寄する
女浪男浪の音ならで
浜唄 沖の鷗はヨー 大漁知らす
沖に櫓拍子浜の唄。
この小唄も東明流『四季短歌』の中の組曲の『春』『夏』に続けて
『秋』を唄った一曲を取り上げて小唄としたもので、人口に膾炙して
いる吟舟の名曲の一つである。
吟舟翁の道楽のうち釣魚は名高く、一本の釣竿、竿入、びく籠、餌
箱にも大枚を投じ、その技術も老巧で他の追随を許さなかったという。
震災後は、釣魚の便宜もあって浜川の来福寺崖下に江戸趣味の庵室を
求め『江児庵』と名づけて隠棲していたが、天気に乗じては品川沖に
釣舟を浮かべた。
小唄は翁の東明節『大磯八景』に因んで、満月の夜の大磯の浜辺を
唄ったもの、と筆者は想像する。
日頃の茶目っ気や悪摺を離れて、悠々閑日月を送る晩年の翁の正統
な江戸小唄となっている。
前半は東明節を取り入れて、静かな中に艶っぽさをみせ、後半は浜唄
をたっぷり聞かせてこ小唄に移る趣向で、作曲の優れている処から、
戦後もしばしば小唄会に出されて大変に流行した。
(「昭和小唄 その一」木村菊太郎著より引用)
私もこの小唄『満月や』は本当に名曲だと思います。
小唄会では延々と小唄の演奏が続きますが、この曲は非常にインパクト
の強い曲として、耳に残ります。
詞のラストが浜唄で、何とも言えぬ雰囲気があります。
糸もドラマチックな演奏で大変弾きがいのある曲ですね。
唄うには節付けがかなり高い曲ですが、一度聞いたら是非とも唄って
みたくなると思います。