小唄「吉野山」のご紹介。
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小唄「吉野山」のご紹介。

2022年05月19日(木)9:11 AM

   「吉野山」 初代平岡吟舟曲

 

 吉野山 峰の白雪ふみわけて

  入りにし人の 影ぞゆかしき。

 

 文治二年四月八日、頼朝の妻政子のたっての所望により、

鶴ケ岡八幡宮の舞殿で法楽の舞をかなでることになった静は

、水干、袴、黄金の細太刀、金揉みの立烏帽子に檜扇を持ち、

 吉野山みねの白雪ふみわけていりにし人の跡ぞ恋しき。

 しずやしずしずのおだ巻きくり返し昔を今になすよしもがな。

の二つの和歌を即興でものし、鼓、銅拍子、鳳管にのせて、歌

い舞った。

 吉野山で別れた義経を慕い、時世の逆転を願う静のこの心情

は、いたく頼朝の機嫌を損じたが、政子のとりなしでやっと事

なきを得たが、この時すでに静は六月の腹帯を締めていたので

あった。

 その年の閏七月二十九日、静が男子を産むと頼朝は安達新三

郎に命じて赤子を奪わせ、襁褓にくるんで之を由比ヶ浜に捨て

て殺した.

九月、すべての望みを失った静は、鎌倉を去って京に帰り、や

がて母にも相談せず髪を切り落とし、草庵を立てて仏道修行に

専心した。剃髪した時は十九歳、翌年の秋に念仏を唱えながら

安らかに往生した。美しくも悲しい短い生涯であった。

 小唄は「あとぞ恋しき」を「かげぞゆかしき」と歌詞を変え

て小唄化したものである。,

 この曲は「別れ曲(もの)」で、「吉野山~入りにし人」は夫

義経を指す。すべてを忍んで別離に生き抜こうとする静の心情

を想い浮かべつつ唄う曲で、三下がりの替手がまたよくこの心

情をうつしている。「小唄鑑賞」木村菊太郎著より引用

 いまNHK大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」がこの話を放送中で

ご紹介するのにはタイムリーかしらと思いました。

 静が頼朝を恐れることなく、義経を慕う心情を歌い舞ったこ

とは大変有名なお話ですね。

 静の気持ちになって唄いたい曲ですね。

 



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