映画「明日をへぐる」を観て。
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映画「明日をへぐる」を観て。
2021年09月14日(火)4:55 PM
東中野ポレポレへドキュメンタリー映画「明日をへぐる」を観に行ってきました。
この映画は和紙の原料である楮を高知の山あいで栽培し、紙を漉いてきた山里の人たちの暮らしを撮ったドキュメンタリーです。
急峻な土地に楮を育て、枝を刈取り、束に纏めて蒸し上げる。
熱い内に楮の外皮をむき、干した楮の皮を何度も繰り返し削り落とし繊維だけを残していくへぐりの作業。
千年残るといわれる和紙には大変な手間がかかっていることを知りました。
まさに大量生産大量消費の現代社会の中にあっては真逆の仕事と暮らしですね。
そしてこの和紙で刷られた版画作品が高知国際版画トリエンナーレで大賞を獲得したそうです。
大賞の川村紗耶佳さんの版画は柔らかく温かみのある素敵な作品でした。そして川村さんもこの土佐和紙があっての大賞作品だと映画の中で話しておられました。
後半では極薄に漉いたこの和紙を使って明治時代の新聞を修復する作業と説明を文星芸術大学助教の繫村 周氏が実演しております。
実は私はこの繫村周氏とは家族ぐるみでお付き合いしてきております。
繫村氏は東京藝術大学の日本画学科を卒業されてから静岡県の国宝修理装瀇師連盟(株)墨仁堂で文化修理の仕事にも携わっていました。
彼がこのドキュメンタリー映画に出演していると聞いて観に行ったわけです。
地味な映画ですが効率性や便利さばかり求めギスギスしがちなストレス社会に生きる私達に、生活の移ろいに振り回されないで丁寧に守り伝えていくことの大切さを教えてくれたドキュメンタリー映画でした。
学校や企業研修会などの場でも上映してもらえると良いと思いました。