小唄「まかせたからは」のご紹介。
ホーム > 小唄「まかせたからは」のご紹介。

小唄「まかせたからは」のご紹介。

2016年10月07日(金)11:06 AM

         「まかせたからは」

 

 任せたからはどうなりと  機嫌直してこちら向いて寝やしゃんせ

   アレ 窓から明けてくるわいな  じれったいでは

      後から烏が鳴いて来る  カアカア。

 

  芸子と間夫といった間柄を唄った上方小唄で、

   任したからはあくまでも  機嫌直してこちら向いて寝やさんせ

    アレ 窓から明けて来たわいな  じれったいでは

       あとから烏が鳴いてきた  カアカア。

 が原唄である。

  好いた同志の二人が、昨夜の痴話喧嘩の末、背中合わせに寝てしまって、

 女が、目を覚ました時は、れんじ窓がもう薄明るくなってきて、野暮な明

 鳥の一声二声。

  女は、向うをむいて寝ている男を一つつねって、『どうせあなた任せの

 身体だから、どうなりと自由に』 『もう夜が明けてくるというのに、何

 時までも拗ねていては、語り合う間がないじゃないか』 と焦れるところ

 を唄ったもので、『じれったいでは』 と半端にいった所に一層その感じ

 が出ている。

  『後から烏が鳴いて来る。カアカア』 は上方小唄『明烏』の技法をう

 つしたもので、江戸小唄もここの所をうまく唄うことによって、この小唄

 の上手下手が決まる大事な所である。

  この上方小唄は江戸に入って端唄となり、江戸小唄に採り入れられたの

 は、明治以降で唄い方も深川芸者の粋な性格を現わすようになったが、

  『じれったいでは』 に 『ないかいな』 をつけて唄うのは蛇足であ

 ろう。  木村菊太郎著 「江戸小唄」より引用。

  如何でしょうか? 痴話喧嘩の後の男女のワンシーンが目に浮かぶよう

 です・・・・。

 短い詞の中でとても分かり易く女性の気持ちが表されていていいです。

  『後から烏が鳴いて来る、カアカア で唄い終わるのも洒落てますね!

 



«   |   »

過去の記事