小唄「首尾も二人」。
前回のブログで「栄芝会」の合奏曲「白魚船」をご紹介させて頂きましたので、今回は
もう一つの合奏曲「首尾も二人」をご紹介します。
「首尾も二人」
首尾も二人がよい月の 行燈背けし影法師
言いそくれし口舌さえ 憎や花火がしゅっと消え
何処へか指して 帰り船。
この曲は本調子の曲で、三下りの替手が入ります。
江戸中期に作られた江戸小唄です。
初秋の月の美しい夜、場所は柳橋か浜町の隅田川辺り。やっと首尾が叶って二人きり
になった男女の影が、行灯の灯に顔をそむけて川辺をそぞろ歩きする所を唄ったもので
ある。女は芸者、男は若いお客。二人とも初めて逢った時から、心の中では好いていた
らしいと思っていながら、今夜もお互いの胸の中を言い出し損なって、舟遊びの客が芸
者達と一緒に、キャッキャと騒ぎながら花火を上げているのを、ぼんやりと眺めている
のである。
そのうち、最後の花火を上げ終わった遊び船の人達は、月の光に照らされながら、何
処かの川岸を指して帰ってゆく。その船の影を、胸の中でじりじりしながら見送ってい
るのが、「憎や花火がしゅっと消え、何処へかさして帰り船」である。
(小唄鑑賞 木村菊太郎著より引用)
如何でしょうか?なんだかとっても初々しいカップルの様子が窺える小唄ですね!
「白魚船」と「首尾も二人」、大勢で唄い、三味線を弾くのはまたいつもとは違う演奏
になりますので、4月3日(日) 三越劇場で開催される「栄芝会」、ぜひ観にいらして
下さいませ。
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