小唄「明治一代女」のご紹介。
「明治一代女」
大雪や女の傘の持ち重み 河岸に枝垂れし枯柳
灯影ほのめくガス燈灯
赤大名に献上の 仇な潰しもつれ髪
ほんに辛気な渋蛇の目。
この小唄は新派芝居小唄の一つです。昭和10年11月明治座初演。川口松太郎作
並演出。
柳橋芸妓叶家のお梅が、末は夫婦と誓った歌舞伎俳優沢村仙枝の三世仙之助襲名
の費用千両を、、箱屋の己之吉に借用する代わりに己之吉と夫婦になると約束すること
から、十二月の末の大雪の夜更けに、浜町河岸の惨劇が起こるという筋立てで、お梅と
己之吉が二人とも真面目だが、弱いゆえに悲劇が生まれるという、現代人に理解できる
新しい性格を持った芝居です。
そして誤って己之吉を殺めたお梅が、警察に自首せず、慣れぬ安宿を転々とし、五日後
の初春興行の新富座の初日、仙之助の一世一代の晴れの口上をききながら自殺する、と
いう結末です。
小唄は、主演の花柳章太郎が「大雪や女の傘の持ち重み」という自作の俳句を冒頭に据
え、雪の浜町河岸の、ガス灯と枝垂れ柳の間に立つ、赤大名に潰し島田のお梅を唄いあげ
たものである。(芝居小唄 木村菊太郎著より引用)
この小唄は本調子で、三下がりの替え手が入ります。先日稽古場で栄芝師匠が弾き唄い
されてるのを聞きました。さりげなく芝居の雰囲気を出して唄ってるのがとても素敵でした!
やっぱり難しくても芝居小唄って唄い甲斐があるなと感じます。三味線もイントロからして
ドラマチックで、弾き甲斐があります。
こらからの季節にお稽古するにぴったりの一曲でもありますね。
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