小唄『つれなくされし』のご紹介・
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小唄『つれなくされし』のご紹介・
2017年06月17日(土)9:01 PM
『つれなくされし』 作詞 初代村幸 作曲 春日 とよ
つれなくされし淋しさに つい愚痴になるこの頃は
浮世の義理も五月雨や 泣かぬ日もなき 時鳥。
大正前期に作られた江戸小唄である。
主人公は芸妓。 浮世の義理に隔てられて、男がこの頃絶えて逢いに来て
くれないのを、つれなくされたと考え、夜毎日毎時鳥の啼き声を聞きなが
ら、涙に袖を濡らしている、という所を唄ったもの。
歌詞はまさしく明治調で、作曲もまた明治期の江戸小唄調である。
(「小唄鑑賞」木村菊太郎著より引用)
二上りの曲で、何とも言えない女心の切なさ、やるせなさ、頼りない思い
が切々と聞く者に迫る小唄だと思います。
この曲は春日流流祖の春日とよの作曲でもあります。作詞は不明とされて
る本もありますが、「小唄鑑賞」の記述にしたがいまして、初代村幸と書き
ました。
雨垂れの音に誘われてしっとりと糸を爪弾き、「つれなく~」と唄ってみ
るのも風情がありますね・・・。