小唄「うらぶれし」のご紹介。
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小唄「うらぶれし」のご紹介。
2023年12月08日(金)10:49 AM
「うらぶれし」
うらぶれし 我が身ながらも恥ずかしき
人目を包む編笠や 紙衣一重の肌寒さ
師走の風を袖屛風 ところ新町吉田屋の
門にしょんぼり伊左衛門
歌舞伎「廓文章」世話物。安永九年作者・劇場不明。
小唄「うらぶれし」は、何れも竹本(義太夫)その他の浄瑠璃の出語り、『冬編笠の垢ばりて、紙衣の火打膝の皿、笠ふき凌ぐ忍び草、忍ぶとすれば古えの、花は嵐の頤に、今日の寒さを喰いしばる、はみ出し鍔も神寂びて、鐺つまりし師走の月、胡散らしくも吉田屋の、内を覗いて』で、伊左衛門が冬編笠に紙衣のなり、一本差し、扇をもって、落ちぶれた姿での花道の出を唄ったもので、この「やつし」の演技は古来和事の真髄とされている。
編笠・・・大抵夏かぶるものであるが、それを冬もきているのは、うらぶれて人目を忍ぶ身である。
うらぶれし・・・落ちぶれること。 「芝居小唄」木村菊太郎著より引用
坂田藤十郎演じる伊左衛門の「やつし」姿で吉田屋を訪ねる場面は名シーンですね。
歌舞伎を鑑賞してからこの小唄を唄うと更に情感を込めて唄えると思います。