小唄「秋の夜は」のご紹介。
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小唄「秋の夜は」のご紹介。
2023年10月09日(月)11:59 AM
「秋の夜」
秋の夜は 長いものとは
まん丸な月見ぬ人の心かも
更けて待てども来ぬ人の
訪づるものは鐘ばかり
数うる指の寝つ起きつ
わしゃ照らされているわいな。
江戸端唄として広く知られている名曲である。
江戸の罪人が佐渡に流され、佐渡の金山で働きながら
遠く江戸の空を偲んで作ったものという。
江戸端唄「秋の夜」は、天保頃に作られたもので、
金山送りの罪人の作と考えると、「更けて待てど来ぬ
人」は、江戸からの赦免の使いのことであり、「数う
る指の寝つ起きつ」は江戸を出て何年何か月目と指を
起って数えつつ、牢内で満月に照らされているという
、哀切腸をえぐられるような唄である。
しかしこの端唄は、一般に、想う男が訪ねて来ないで
鐘の音のみ閨を訪れるという女の心を唄った唄と解さ
れている。
「秋の夜~心かも」は、秋の夜を長いと嘆く人は、
秋の空に隈なく照りわたるまん丸な月の美しさを賞づ
ることを知らぬ人の心であろう、という意味。
「更けて待てども」以下は、鐘の音のみ淋しく閨を
訪れる頃、指折り数えて想う人を待ち焦がれながら、
月の光に照らされている女の身にとって、秋の夜長は
いやが上にも長く思われる、という意味。
「照らされているわいな」は、上方ではきまりの悪
い思いをするという意味で、これと月に照らされると
をかけたもので、淋しい節廻しは歌詞の典雅と相俟っ
て一段と趣きのある端唄で、江戸小唄は端唄からとっ
たものである。
「江戸小唄」木村菊太郎著より引用
この小唄は、本当にゆっくり、しっとりと唄う唄で
すね。
秋の風情に満ちた美しい一曲です。