小唄「河太郎」のご紹介。
『河太郎』 作詞 鈴木秀雄 作曲 初代佐橋章子
芒かついだ河太郎 南瓜畑をぶら~と
酒か団子かいい機嫌
用水堀も薄どろを 誘う雨気の小夜更けて
月に遠音の村囃子。
この小唄は鈴木秀雄が帝展に出品された河童の絵を観て作詞され
たといわれている。
河童は伝説の動物で、大川或いは大沼もしくは海に棲み、「河太郎
」と異名されている。
小唄の前半は、仲秋の月見と洒落た河太郎が陸に上がって、芒を
かついで南瓜畑をぶらつく所である。
(用水堀も薄どろを・・・)は、そばを流れる用水堀の音が、芝居
で幽霊の出る時に使う「薄ドロの音」(太鼓だけをかすめて打ち続け
る囃子の一種)に似て、雨気を誘う南瓜畑の中で、折から秋の収穫を
終わったあとのお祭の村囃子の遠音に合わせて、河太郎が奇妙な格
好で踊り始める所である。
飄逸な作詞と、二上りの軽妙な作曲で、小唄振りも派手について、
章子の最高傑作として、また新作小唄の代表作の一つとして、人口
に膾炙している。
注・・・大野恵三は、「むら囃子」は「村囃子」ではなく、風に乗っ
てときたまむらに流れてくる「遠囃子」であると解している。
「昭和小唄 その一」木村菊太郎著より引用
芝恋もこの「河太郎」が大好きです!
すでに他界されておりますが、桃山晴衣さんがなんと!21歳の時に
弾き唄いされた「河太郎」を聞いた時にはとても驚きました。
軽快な三味線の音色に乗って、サラリと素朴に唄ってるのがこの曲
の持ち味にぴったりだと感じました。
秋になって芒を見かけるとこの「河太郎」のテンポの良い三味線の
旋律が頭に浮かびます。
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