小唄「柳屋お藤」
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小唄「柳屋お藤」
2015年08月30日(日)11:19 AM
七月のブログから、浮世絵、歌舞伎、小唄と日本の伝統芸能が微妙に重なり合って
花開いてる事を書いてまいりましたが、今回は小唄「柳屋お藤」もまたその繋がりで
ご紹介させて頂きます。
「柳屋お藤」 作詞 小林 栄 作曲 春日とよ
紺のれん 吹く秋風になよなよと しるした文字も柳屋の
香う楊枝かすんなりと 銀杏娘の立姿
合す両手や白魚の 指も切りましょ誓いごと
観音様へ願かけて そっと見上ぐるまなざしは
江戸紫の藤の花 娘千両色ざかり。
この曲は本手が三下がりで、替手は本調子。作曲は春日流の流祖、春日とよです。
唄われている「柳屋お藤」は浅草寺奥の銀杏下の楊枝店屋柳屋の娘で、笠森お仙、蔦
屋お芳と共に江戸明和年間の三大美人のひとりでありました。
「用事(楊枝)ないのに用事をつくり、今日も朝から二度三度」と、お藤の店に人々
が群がりました。
吉原や歌舞伎のように大金を使わずに、お茶を一杯頼んだり、買い物に行けば誰
でも気軽に本人に会うことが出来たのが、当時の人々にとって魅力だったようです。
お藤の店の前には銀杏の木が多かったため、「銀杏娘」とも呼ばれて、鈴木晴信の
浮世絵にも描かれ、笠森お仙と共に一世を風靡しました。
この小唄は芝恋のお師匠春日とよ栄芝の今春の小唄本会で合奏、合唱されました。
三越劇場の舞台の上にひな壇を作って、大勢の門下生がこぼれ落ちんばかりに並ん
で演奏するのはとても見応えがあります。来年も四月の第一日曜日に開催されますの
で、興味のある方はぜひご来場くださいませ。