小唄「笠森おせん」から永井荷風作「恋衣花笠森」へ
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小唄「笠森おせん」から永井荷風作「恋衣花笠森」へ

2015年08月19日(水)10:36 AM

 以前のブログで小唄「笠森おせん」についていろいろご紹介しましたが、その際

おせんを題材にした小説を、永井荷風が「恋衣花笠森」というタイトルで書いてる

そうですと紹介いたしました。芝恋も早速読んでみようと探したのですが岩波新書

では絶版になっており、友人の協力を得て絶版の本もある図書館よりコピーを取っ

て送って頂き読むことが出来ました。芝恋のブログをいつも読んで頂き、すぐに対

応してくれる友人に深く感謝しております。有り難うございました。

 永井荷風の「恋衣花笠森」ですが、歌舞伎の「怪談月笠森」とはまったく違うお話

です。純粋で素朴な町娘「おせん」が器量が良いと評判になったためにその美しさ

を笠森神社参拝にかこつけ観ようと、大勢の人が参拝の折おせんの働く茶屋に来

て商売繁盛するのですが・・・・・。実はおせんには幼馴染の下級武士の源之進とい

う恋人がいて、という思うに任せぬ恋物語です。

 急にその美しさで有名になってしまい、鈴木晴信の錦絵にまで描かれ、おせん本

人は戸惑うばかり、むしろ恋しい源之進とは以前の様に逢って話もできず・・・・。

 一方源之進は貧しい下級武士の、しかも部屋住みの身、おせんと結婚したくても

・・・・・。という話の展開ですが、当時の江戸の人々の暮らしや風俗が描かれ、江戸

小唄をやってる芝恋にとっては大変興味深い小説でした。

 物語の冒頭、源之進がおせんの描かれた錦絵を購入する際に、店の手代が「これ

が柳屋のお藤、これが只今刷り上って参りました鍵屋のお仙でござります。」と言う場

があります。「柳屋お藤」この江戸美人として名高い町娘もなんと!!小唄に唄われ

ていて、しかも「柳屋お藤」を作曲したのは春日流流祖「春日とよ」であります。

 次回ブログにて小唄「柳屋お藤」をご紹介させて頂きます。



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