「香に迷う」(御所車)のご紹介。
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「香に迷う」(御所車)のご紹介。

2022年06月11日(土)10:30 AM

  「香に迷う」

 

 香に迷う 梅が軒端に匂い鳥

  花に逢瀬を待つ年の 明けて嬉しき懸想文

   開く初音のはずかしく まだ解けかぬる薄氷

 雪に想いを深草の百夜も通う恋の闇

  君が情けを仮寝の床の 枕片敷く夜もすがら

 

この歌詞を訳しますと

 梅の香には心惑わされる

 軒端に匂うのには鶯がつきもの

 そんな梅の咲くころの逢瀬を待ち焦がれると

 年が明けて 梅の時季

 届いた文を開けるとそれは嬉しい恋文

 鶯の初音ならぬ

 あなたの初めての便りを

 開くのは恥ずかしく

 まだ打ち解けかねて心には薄氷が張っているよう

 積もる雪のように深まる恋心

 かの深草の少将を百夜も通い詰めさせた恋の闇

 あなたが私にはかない情けをかけたその床で

 衣片敷きひとりでねる 夜もすがら。

 

 この曲は撥で弾く端唄・俗曲になります。

鶯笛の音で始まり、雅な雰囲気が魅力的な曲です。

日舞では「御所車」とも言われています。私も舞台でこの曲

を踊ったことがあります。

 踊って良し、弾いて良し、唄って良し、という素敵な曲だ

と思います!

 何故この曲を紹介したかというと、美術館巡りの旅行の二

日目の夕食が祇園円山「かがり火」で、湯豆腐料理を頂きま

した。その時の箸袋に「百夜通い」のお話しが印刷されてい

るのを読み、ふと「香に迷う」の曲を思い出したためです。

 

「かがり火」の箸袋

百夜通いのお話の説明文

 こういう折には日本舞踊や長唄、小唄等をお稽古してきて

良かったなと思いますね。

 

 

 

  

 



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