小唄「苗売り」のご紹介。
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小唄「苗売り」のご紹介。

2021年05月12日(水)8:14 PM

  「苗売り」 永井ひろ作詞・作曲

 

 浮世も義理もみな捨てて 主と二人で侘び住い

  天秤棒を肩にかけ

 <呼び声>

  茄子の苗や胡瓜の苗 隠元の

   あ、もし 豆の苗は オット承知だ。

 

 永井ひろの下町情緒を生き生きと活写した佳曲である。

「浮世も義理もみな捨てて・・・は愛する人と一緒になって下町に住んだら、

さぞ嬉しいだろうという、ひろの見果てぬ夢を描いた小唄であろうと筆者は想

像している。

 震災前の東京は、上野も銀座も下町も、明治の色を濃く残していた。

「苗売り」の聞かせ所は苗売りの声と姐さんとのやりとりで、ひろはこの作曲

をする時に、苗はいらないけれど代金はお払いするから、すまないがもう二度

、三度向こうから歩いて苗売りの声を聞かせてくださいと頼んだという。 

木村菊太郎著「昭和小唄 その一」より引用

 

 唄の中に物売りの声やセリフが入っている曲は大好きです。難しく感じる方

もいると思いますが、私は唄い甲斐があると思います。

「あ、もし」とセリフで言って、<豆の~と唄う差を出すところ、最後に「オ

ット承知だ~」で締めるのが粋ですねぇ!

 

 



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