一日逢わねば千日の・・・「三千歳」のご紹介。
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一日逢わねば千日の・・・「三千歳」のご紹介。

2021年01月02日(土)10:47 AM

  「三千歳」  詞・市川三升 曲・吉田草紙庵

 

 一日逢わねば千日の 思いも積もる春の夜も

  静かに更けて冴え返る 寒さを囲う袖屛風

 入谷の寮の睦言も 淡き灯影に浪うたす

  隙間を漏るる雪おろし。

 

 新年明けましておめでとうございます。

昨年末のコロナ感染者数の増加と医療の大変な状況に不安を感じている方

が多いと思いますが、止まない雨はない!のですから、気を引き締めて今年

も頑張ってお稽古に励みたいと思います。

 「三千歳」・・・数多い小唄の中でも名曲ですね。この素晴らしい、芝恋

が大好きな歌舞伎小唄を本年最初の小唄ご紹介曲にさせて頂きます。

 

 「天衣粉上野初花」世話物。河竹黙阿弥作。明治十四年四月東京新富座初演。

黙阿弥晩年の世話物の代表作として興行面でも未曾有の成功を収めた。

 

まず前弾きは直次郎の入谷の寮への出の合方で雪模様を使い、終わりに一をど

んといれて上野の鐘をきかせ、直ぐに一日と唄う。

『一日逢わねば千日の思いも積もる春の夜も・・・は三千歳の口説きで、色っ

ぽく柔しく、合方は夜の雪の積もっている情景で、『静かに更けて冴え返る・・

・は糸を雪と上野の鐘に通わせてあるので『冴え返る』は本釣の響くつもりで唄

うこと。

『寒さをかこう・・・は文弥節で、『袖屛風・・・は直次郎の後からそっと三千

歳が肩を抱くところで、極く優しく新内の七ッユリという節を使っているので、

屛風のぶを引っ張ると浄瑠璃になるので軽くおくことにしたい。

 次の『入谷の寮・・・から直次郎の動きに変わるので、ここの合方はノリが替

わって市村式にサラサラとゆき、『入谷の寮の睦言も・・・は新内調でゆき、『

淡き灯影に・・・の「灯かァげ」のあで節をあげるのは誰か来はせぬかと直次郎の

向こうを見る気持をあらわし、『隙間を漏るる雪下ろし・・・は直次郎と三千歳の

二人の引張りの見得になるのを現わし、合方は雪なだれで、送りは二人の極まった

所へ波瀾を起こすために雪模様に捕物の合方としている。

 従ってこの小唄の『一日逢わねば~袖屛風・・・までは三千歳、『入谷の寮~雪

下ろし・・・までは直次郎の気持ちで唄うようにする。

 いままでこの種の小唄は女が主になって男に動きがないので、直次郎を生かすた

めに、双方同じように働かせた作曲が草紙庵の構想であった。

(「昭和小唄 その一 」木村菊太郎著より引用)

 

 如何でしょうか? これからこの小唄をお稽古される方にはとても参考になると

思います。

 昨年暮れ二度目のお稽古を付けて頂きましたが、何年か経って浚い直す価値のあ

る名曲であると私は思います。

 ドラマをドラマチックに唄うには歌舞伎を観ておくことも大事ですね。上っ面だ

けで唄っていると自己陶酔や自己満足に陥ります。

 そこで芝恋のお教室では自由参加で、歌舞伎やお芝居を皆で年に数回観に行って

おります。

この「三千歳」も場面を思い描いて唄いたい小唄ですね。

 

 本年も芝恋のブログをよろしくお願い致します。

 

 

 

 

 

 

 

 



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