小唄「目見え染めし」のご紹介。
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小唄「目見え染めし」のご紹介。

2019年12月13日(金)10:40 AM

   「目見え染めし」

 

 目見え染めしは昨日今日

  尽きぬ縁とてまた逢う夜半の

   言いたい事もやま山吹の

    言わぬ色なる身の辛さ。

 

 明治中期に作られた江戸小唄である。

主人公は若い芸妓であろう。

「目見え染めし~また逢う夜半の」までは、「お目にかかったのは

昨今のことですが、ご縁があると見えて、また今宵もお目にかかれ

ました」と、そのお客に言うところで、『目見え』とは『まみえる』

に同じで、会うということを謙譲して言った言葉である。

奉公人が初めて主人に会うことを『目見え』ということから、芸妓

がお客に対して使う言葉で、「逢う夜半」は夜中と考えないで、今

宵もまた、という程度に考えてよいであろう。

 「言いたい事も」以下は、申し上げたい事はやまやまありますが、

まだ馴染みも薄いので、申し上げられぬ身の辛さを察してほしうご

ざいます、という意味である。

 「やま山吹の」は「言いたい事もやま~」と「言わぬ色なる」と

の二つにかけた言葉で、「言わぬ色」とは黄色のことで、黄色は「

くちなし」(梔子)が原料でこれから色素を採るので、昔から黄色の

ことを『いわぬ色』と呼んでいる。

「新古今集」に『山吹の言わぬ色をば知る人もなし』とあることか

ら、『言わぬ色なる』をここに引き出していることも明らかである。

 主人公の若い芸妓は、まだ日も浅いにもかかわらず、そのお客

に強く心を惹かれているという心理が、この小唄では心憎いまで描

かれており、曲も、唄い出しの『目見え』と長く引いて唄う所に、

色気のある良い節がついており、早間な三味線でトントンと唄って

ゆく所は、文句といい節といい申し分のない、完成期の江戸小唄で

ある。

 本調子の替手も面白くついており、しっとりと、情けのある小唄

とは、こんなものをいうのであろう。

 なかなか意味深長な小唄ですね。

「くちなし」の黄色が「言わぬ色」とは知りませんでした!

味わい深い小唄ですね。また、「まみえる」という言葉も最近では

あまり使われない言葉ですが、とても奥ゆかしい雰囲気のある素敵

な言葉ですね。



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