小唄『大雪や』のご紹介。
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小唄『大雪や』のご紹介。

2017年11月14日(火)12:58 PM

     「大雪や」  作詞 花柳章太郎 作曲 春日とよ年

 

 大雪や女の傘の持ち重み  

  河岸に枝垂れし枯柳  灯影仄めくガス燈灯  

 赤大名に献上の仇な潰しのもつれ髪

  ほんに辛気な渋蛇の目。

 

 『明治一代女』五幕十一場。昭和十年十一月明治座初演。

川口松太郎作・演出。

 川口松太郎の『明治一代女』は、柳橋芸妓叶家お梅が、末は夫婦と誓った歌舞伎

役者沢村仙枝の三世仙之助襲名の費用千両を、箱屋巳之吉に借用する代わりに巳之

吉と夫婦になると約束することから、十二月の末の大雪の夜更けに、浜町河岸の惨

劇が起こるという筋立てで、お梅と巳之吉が二人とも真面目だが、弱いゆえに悲劇

が生まれるという、現代人に理解できる新しい性格を与えた。

 そして誤って巳之吉を殺めたお梅が、警察に自首せず、慣れぬ安宿を転々とし、

五日後の初春興行の新富座の初日、仙之助の一世一代の晴れの口上を聞きながら自

殺する、という結末とした。

 花柳章太郎(お梅の役)はこの好脚本を得て張り切り、眼目の浜町河岸のお梅の衣

装を、苦心惨憺の末、『赤大名』(色が黒で朱の細い縞を一面に通したもの)に献上

博多の帯とした。

 地味の様に見えて派手で、くすんでいて美しく、雪に朱の色がくっきり映えて美

しさは言いようがなく、大矢市次郎の巳之吉とのイキが合って、浜町河岸の殺しの

場は、初日からぎっしり大入りの観客は息をつめたように引き込まれ、近来稀れに

みる名舞台となった。

 小唄は、主演の花柳が、「大雪や女の傘の持ち重み」という自作の俳句を冒頭に

据え、雪の浜町河岸の、ガス灯と枝垂れ柳の間に立つ、赤大名に潰し島田のお梅を

唄い上げたものである。

作曲の春日とよ年は、師匠とよ譲りで繊細を極め、ガス灯と赤大名の合の手に新内

をとりいれて、その情緒を盛り上げた。  木村菊太郎著「芝居小唄」より引用

 如何でしょうか? 唄ってみたくなりませんか?またはこの新派のお芝居を観て

みたい気分になりませんか?

 小唄をお稽古していく中で歌舞伎や劇団新派のお芝居を実際に観に行ったりと、

皆様の世界が一層広がることと思います。

 芝恋も希望者のお弟子さん方と一緒に、年に数回歌舞伎やお芝居、落語等の観賞

に参ります。

 歌舞伎やお芝居、落語好きな方、是非小唄をお稽古しみて下さいませ。!

 

 

 

 

 



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