江戸小唄「待ちわびて」
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江戸小唄「待ちわびて」

2015年09月06日(日)4:53 PM

 江戸小唄「待ちわびて」は芝居小唄のひとつです。

「偽甲当世簪」まがいこうとうせいかんざし 世話物《ざんぎり物》。

明治十五年、東京の六尺長屋(一名朝鮮長屋)の鼈甲や京屋の娘お浦は、同業

の深川和国屋の新三郎を婿に迎えて、琴瑟相和していたが、新三郎が明治の開

化の世界に育っているため、物言いから全て抜け目がないのが、開化嫌いで未だ

チョン髷を結っている両親の気に入らず、唐木屋の次男がお浦の器量に惚れて、

二千両の持参金を持って婿に来たいと言うので、両親は新三郎を追い出そうとし

ているある日のこと。

 舞台は序幕《浅草田圃富士見二階の場》

両親が頑固なため、晴れて一緒に外出もできぬお浦と新三の二人が、浅草観音

で待ち合わせて、料亭「富士見」の二階で、しみじみと夫婦の語らいをする所。

折から、象潟町から聞こえてくる歌沢の一節が「待ちわびて」である。

 

      「待ちわびて」    作詞 河竹黙阿弥 作曲 六世富本豊前掾


 待ちわびて  寝るともなしにまどろみし

  枕に通う鐘の音も  夢か現か  現か夢か

   覚めて涙の袖袂  あれ村雨が降るわいな。


 唄の意味は、女が恋しい人を待ち侘びて、何時とはなしにまどろむが、目が覚

めてもその人は訪ねて来ず、ひとり涙で袖を濡らすという意味。

 この江戸小唄は、歌沢調の節の長い唄い方で、黙阿弥一流の、しっとりとした

作詞と、豊前掾の渋い作曲によって、今日もよく唄われています。(小唄鑑賞より

引用)

 如何でしょうか。この曲は本調子で三味線一丁でしっとり、密やかに弾きます。

ちょっと歌舞伎の主人公になったつもりで、唄ってみませんか?

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